「廃業の手続きについて詳しく知りたい」
「フリーランスが廃業するときに注意するポイントは?」
「廃業のメリット・デメリットを教えてほしい」
近年、コロナやインボイスの影響で、廃業を検討するフリーランスが増えています。
実際、本記事を訪れたあなたも、廃業しようか悩んでいるはずです。
本記事では「廃業するために必要な物」や「手続き方法」について解説していきます。
また、合わせて「廃業のメリット・デメリット」も紹介しています。
廃業を検討している方は、参考にしてみてください。
フリーランスが廃業する際に気をつけるべきポイント
まずは、フリーランスが廃業する際に気をつけるべきポイントを6つ紹介していきます。
- 廃業届の提出方法を確認する
- クライアントに連絡する
- 売上を確認して確定申告を行う
- 就職先を決めておく
- 活用できる給付金や補助金がないか調べておく
- 廃業ではなく休業を検討してみる
1つずつ解説していくので、廃業を検討している方は参考にしてみてください。
廃業届の提出方法を確認する
廃業届の提出方法は、以下の3つです。
- 税務署に持っていく
- 税務署に郵送する
- オンライン(e-Taxソフト)で提出する
一番楽なのはオンライン提出です。
マイナンバーカードやパソコン、カードリーダーが自宅にある人は、オンラインで提出していきましょう。
オンライン提出の方法が分からない人は、税務署に直接持っていくか、郵送で提出しましょう。
基本的に税務署の受付は平日の8:00〜17:00となっていますが、廃業届に関しては、受付時間外でも提出できます。
税務署にある「時間外収受箱」に提出することも可能なので、参考にしてみてください。
クライアントに連絡する
廃業する前に、お世話になっているクライアントに連絡しておきましょう。
理由は以下の3つです。
- 契約書の内容を確認するため
- クライアントの予定を確認するため
- 挨拶のため
クライアントと仕事するにあたって、契約書を交わしている方は多いはずです。
ほとんどの契約書には「20××年×月までの契約」と、契約に関する期日が記載されています。
上記のような契約内容を無視して、一方的に契約を解除することは不可能です。
そのため、契約書を交わしている場合は廃業する前に、クライアントに連絡しましょう。
また、連絡する際はお詫びと感謝の気持ちを伝えましょう。
売上を確認して確定申告を行う
以下の所得基準を満たしている場合は、確定申告を行いましょう。
個人事業主やフリーランスで、1月1日から12月31日までの1年間の所得が48万円以上の人は確定申告が必要です。所得税額は、所得から基礎控除などの所得控除を差し引いた額が「課税所得」の額に応じて決定します。
引用:freee公式
廃業したからといって、納税の義務が無くなる訳ではありません。
無申告=脱税になるので、48万円以上の所得がある方は注意してください。
就職先や進路を決めておく
廃業する前にきちんと就職先や進路を決めておきましょう。
就職先や進路を決めておかないと、生活できなくなってしまうからです。
1番危険なのは、勢いだけで廃業してしまうことです。
独り身の場合だとなんとかなりますが、家族がいる場合だと話は変わってきます。
家族がいる方や貯金が少ない方は、計画的に廃業していきましょう。
お金に困っているという人は、次で紹介する「活用できる給付金や補助金がないか調べておく」を参考にしてみてください。
活用できる給付金や補助金がないか調べておく
廃業する際は活用できる給付金や補助金がないか調べておきましょう。
フリーランスが活用できる給付金や補助金の一例は以下のとおりです。
- 事業継承・引継ぎ補助金:事業を継承or再編する時に費用の一部を補助してくれる制度
- 住居確保給付金:家賃の一部を補助してくれる給付金
- 職業訓練受講給付金:月額10万円の「職業訓練受講手当」を支給してくれる制度
上記のように、フリーランスや小規模事業者向けの給付金or補助金もあります。
お金に困っている方は、上記の給付金や補助金を参考にしてみてください。
廃業ではなく休業を検討してみる
いきなり廃業するのではなく、休業を検討してもいいでしょう。
休業であれば、廃業届や休業届を提出する必要はありません。
廃業は手続きが面倒なうえに、デメリットも多いです。
そのため、いきなり廃業するのではなく、まずは休業を検討するのもいいでしょう。
廃業のデメリットについては、次の見出しで解説しているので、参考にしてみてください。
フリーランスが廃業するデメリット
次に、廃業のデメリットを3つ解説していきます。
- 個人事業主として活動できなくなる
- 収入がゼロになってしまう
- 信用を失う可能性も
廃業を検討している方は、参考にしてみてください。
個人事業主として活動できなくなる
フリーランスが廃業するデメリット1つ目は、個人事業主として活動できなくなることです。
廃業届を提出した瞬間から、個人事業主の活動ができなくなります。
そのため、これまで営んできた事業やビジネスを続けられなくなります。
事業やビジネスに強い愛着を持っている人からしたら、辛いことでしょう。
そのため、いきなり廃業届を出すのではなく、一旦休業する人も多いです。
収入がゼロになってしまう
廃業届を出すということは「無職」になるということです。
いきなり収入がゼロになってしまうため、廃業は計画的に行いましょう。
- 就職先を決めておく
- 給付金や補助金を調べておく
- 資産や貯金残高を把握しておく
いきおいだけで廃業してしまうと、路頭に迷うことになります。
収入がゼロになっても生活できるよう、事前準備を怠らないようにしましょう。
信用を失う可能性も
廃業=社会的信用を失うというケースもあります。
「いきなり言われても困る」と不満に思うクライアントもいるからです。
そのため、廃業する際はクライアントにしっかり説明できるよう、廃業理由を考えておきましょう。
また、廃業を伝えるタイミングも重要で、ギリギリではなく、遅くとも1ヶ月前には伝えましょう。
きちんと理由を説明し、謝罪すればクライアントも納得してくれるはずです。
廃業を考えている方は参考にしてみてください。
フリーランスが廃業する為に必要な物
ここでは、フリーランスが廃業する為に必要な物を5つ紹介していきます。
- 個人事業の開業・廃業等届出書
- 青色申告の取りやめ届出書
- 所得税および復興特別所得税の予定納税額の減額申請書
- 消費税の事業廃止届出書
- 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書
1つずつ解説していくので、廃業を考えている方は参考にしてみてください。
個人事業の開業・廃業等届出書
フリーランスが廃業する為に必要な物1つ目は「個人事業の開業・廃業等届出書」です。
新たに事業を開始したとき、事業用の事務所・事業所を新設、増設、移転、廃止したとき又は事業を廃止したときの手続です。
引用:国税庁
提出方法は以下の3つです。
- 税務署に提出(直接)
- 郵送
- e-Tax
個人事業の開業・廃業等届出書は廃業するのに必須の書類です。
書類の詳細や書き方については、国税庁のホームページに記載されているので参考にしてみてください。
青色申告の取りやめ届出書
白色申告ではなく、青色申告で確定申告していた人は「青色申告の取りやめ届出書」も提出しましょう。
提出期間は以下のとおりです。
青色申告を取りやめようとする年の翌年3月15日までに提出してください。
なお、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります。
引用:国税局
上記のように提出期間が決まっているので、注意してください。
また、提出方法は以下の3つです。
- 税務署に提出(直接)
- 郵送
- e-Tax
先ほど紹介した、個人事業の開業・廃業等届出書と一緒に提出していきましょう。
書類の詳細や書き方については、国税庁のホームページに記載されているので参考にしてみてください。
所得税および復興特別所得税の予定納税額の減額申請書
予定納税をしていた人は、所得税および復興特別所得税の予定納税額の減額申請書も提出していきましょう。
予定納税の義務のある方が、廃業、休業又は業況不振等により、1その年6月30日の現況による申告納税見積額が予定納税額の計算の基礎となった予定納税基準額に満たないと見込まれる場合、2その年10月31日の現況による申告納税見積額が既に受けている減額の承認に係る申告納税見積額に満たないと見込まれる場合において予定納税額の減額を求める手続です。
引用:国税庁
廃業に伴い、所得が大幅に低下する方は、上記の書類を提出していきましょう。
書類の詳細や書き方については、国税庁のホームページに記載されているので参考にしてみてください。
消費税の事業廃止届出書
消費税の事業廃止届出書は、廃業する&消費税の納税義務を終わらせる際に提出しなくてはいけない書類です。
そのため、消費税を支払っていた方は、提出していきましょう。
提出方法は以下の3つです。
- 税務署に提出(直接)
- 郵送
- e-Tax
提出期限はありませんが、国税庁のホームページを見ると「事由が生じた場合、速やかに」と記載されているので、廃業届と一緒に提出していきましょう。
給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書
従業員や事業専従者等に対して、給与を支給していた方は「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書」を提出していきましょう。
給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書の提出期限は、廃業してから1ヵ月以内です。
忘れないようにしっかりメモしておきましょう。
書類について疑問点がある方は、最寄りの税務署に相談してみてください。
フリーランスが廃業する手続き方法を解説
次に、廃業の手続き方法や廃業の流れを解説していきます。
- 必要書類の提出先を確認しておく
- 提出書類を用意する
- 廃業届を提出する
1つずつ見ていきましょう。
廃業届の提出先を確認しておく
まずは、必要書類の提出先を確認しておきましょう。
書類の提出先は以下の2つです。
- 税務署
- 都道府県税務署
税務署に提出する書類は以下の5つです。
- 個人事業の開業・廃業等届出書(必須)
- 青色申告の取りやめ届出書
- 所得税および復興特別所得税の予定納税額の減額申請書
- 消費税の事業廃止届出書
- 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書
上記の書類を確認したうえで、税務署に書類を提出していきましょう。
また、年間290万円事業主控除額を超える所得があった方は「都道府県税務署」にも書類を提出しなくてはいけません。
各都道府県ごとに申請方法や申請書類が異なってくるので、事前に調べておきましょう。
書類の詳細や提出方法は、国税庁や各都道府県の公式ホームページを参考にしてみてください。
提出書類を用意する
書類の提出先を確認したら、実際に書類を用意していきましょう。
先ほども紹介したように提出書類は、各事業者によって異なります。
- 個人事業の開業・廃業等届出書(必須)
- 青色申告の取りやめ届出書
- 所得税および復興特別所得税の予定納税額の減額申請書
- 消費税の事業廃止届出書
- 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書
個人事業の開業・廃業等届出書は必ず提出しなくてはいけません。
しかし、その他の必要書類に関しては各事業者によって異なります。
事業規模や所得額によって、提出書類が変わってくるからです。
「どの書類を提出すればいいのか分からない」という方は、最寄りの税務署に相談してみてください。
また、書類は国税庁のホームページからダウンロード&印刷できるので、仕事の関係で税務署に行けない人は参考にしてみてください。
廃業届を提出する
書類の提出方法は、主に以下の3つです。
- 税務署に提出(直接)
- 郵送
- e-Tax
一番楽なのは「e-Tax」です。
税務署に行く手間や郵送の手間を省くことができます。
ただし、中には「家にパソコンがない」「マイナンバーカードを持っていない」という方もいるかと思います。
そのため、e-Taxを利用できない方は税務署に直接提出or郵送していきましょう。
基本的に税務署の受付は平日の8:00〜17:00となっていますが、廃業届に関しては、受付時間外でも提出できます。
フリーランスの廃業に関するよくある質問
最後に、フリーランスの廃業に関するよくある質問と、質問の回答を紹介していきます。
廃業を考えている方は参考にしてみてください。
フリーランスの廃業率はどのくらい?
フリーランスの廃業率は平均37,7%と言われています。
中小企業庁が発表した「2005年度版 中小企業白書」によると、個人事業主としてスタートした直後ほど業績が安定せず廃業となるリスクが高く、年数が経過するほどに安定して事業を進められる人が増えると考えられます。詳しく説明すると、起業から1年で廃業となるフリーランス(個人事業主)は「平均37.7%」にも上ります。
引用:ペイッター
上記のデータをみて分かるように「廃業=少数派」という訳ではありません。
廃業して会社員に戻る人も多いです。
廃業を検討している方は、上記のデータを参考にしてみてください。
フリーランスは廃業してすぐ開業は可能?
可能です。
廃業したとしても、再度開業届を出せば、すぐにフリーランスに戻れます。
手続きは開業するときと一緒で、税務署に開業届を出すだけです。
また、オンライン申請や郵送申請も可能なので、将来的に再度開業したい方は、参考にしてみてください。
フリーランスの廃業理由で多いのは?
フリーランスの廃業理由をまとめてみました。
- クライアントとの契約が切れた
- スキル不足
- 資金繰りの悪化
- 体調不良
- モチベーション不足
上記を理由にフリーランスを辞めていく人は多いです。
廃業届の提出は必須なの?
必須ではありませんが、廃業届を提出しないと「事業を継続している」とみなされてしまいます。
税務署から確定申告の案内が届く場合がありますし、所得金額によっては、翌年以降も確定申告が必要になってきます。
場合によっては税務調査の対象になる可能性もあるので、廃業を検討しているなら、しっかり廃業届を提出していきましょう。
フリーランスの廃業まとめ
今回はフリーランスの廃業について解説していきました。
最後におさらいとして、廃業の流れを紹介しておきます。
- 必要書類の提出先を確認しておく
- 提出書類を用意する
- 廃業届を提出する
先ほども説明したように、廃業に必要な書類は各事業者によって異なります。
必要書類が分からない方は、税務署に相談してみてください。